
■ 液状化被害の基礎知識
★★ 1.液状化被害の事例
● 液状化現象は、地下水位が浅く(高く)、しめ固められていない砂質地盤で起こる現象です。「液状化」という名前のとおり、今までしっかりと建物を支えていた地盤が地震による揺れを受けることで液体のようになります。これは、砂粒が相互にかみ合っていた状態がはずれてしまうために起きるのです。重い建物は支えられなくなり沈み込む一方、内部が空洞になっている軽いもの(マンホールや浄化槽)は浮き上がって地面から飛び出します。地盤が液状化することにより表層地盤が水平方向に移動して、大切な目印である道路や敷地の境界石(境界標)が移動して問題になることもあります。
★★ 2.液状化危険度の調べ方
● この章では液状化危険度を調べる方法として、液状化危険度マップによる方法と自分で調べる方法について述べます。
★ 1.液状化危険度マップとは
● 液状化危険度マップは、液状化マップ、液状化ハザードマップ、液状化防災マップなどの名称で公表されており、地震によりその土地が揺れた場合の液状化の危険(影響)の度合いを地図上に色づけして塗り分けたものです。その地域の50mから1km四方の土地を一つのメッシュとして危険度を評価したものが多く、地域の液状化の危険性がどの程度あるかを知ることができます。
● 地震の揺れの強さの仮定の仕方として、「震度5強」のように、対象地域全域に対して一定とみなしているものと、震源と地震の規模(マグニチュード)を想定した地震(例えば、内閣府の中央防災会議が想定している首都直下の地震など)が起きた場合、その場所がどれだけ揺れるかを計算して、その揺れによる液状化現象の発生危険度を表したものの二通りがあります。最近作成される液状化危険度マップは、後者のタイプが多くなっています。どちらのタイプであっても液状化危険度マップは、想定されている地震の揺れの強さによって変わるものであることを認識しておくことが大切です。
● 液状化危険度マップは、都道府県や市区町村単位で作成され公表されているものが多く、以前は紙地図が主流でしたが、最近では自治体のホームページで公表されています。「○○市、液状化マップ」など、webでのキーワード検索で探すことができますが、見つけにくい場合は自治体の防災担当に照会してみてください。
★ 2.液状化危険度マップの読み方の留意点
● 液状化危険度マップは、液状化危険度の地域的傾向を見るために作成されたものが多く、個々の宅地の液状化危険度を表しているものではありません。このため、メッシュ表示の液状化危険度マップでわが家の場所の液状化危険度を見ようとしたときに、非常に見づらくなっています。また、やっと捜し出したわが家の敷地も、2つのメッシュの境界にまたがっていたりすることもあります。どちらの危険度を信用すれば良いのかと迷うより、もともと液状化危険度マップはその程度の精度だと考えた方が良いでしょう。
● 東日本大震災では、以前沼があった所で局所的に甚大な液状化被害が発生し、この沼地での液状化危険度が、市が作成した液状化マップに反映されていなかったことが問題視されました。この沼地は50m×500mの大きさですが、このような局所的な土地履歴の違いは、普通液状化危険度マップには反映されていません。特に、地盤・土質調査に基づく方法で作成された液状化危険度マップの場合は、代表点の地盤資料を用いて液状化危険度を計算するため、昔、沼地や川であった場所などの違いは液状化危険度には反映されていないと考えた方が無難です。
http://news-sv.aij.or.jp/shien/s2/ekijouka/index.html